メルカリで売れた書籍を
近所のファミマに発送しに行った。
※いまだに「読み返すことはないな」
って本はシコシコメルカリに出品して、
家の中にものを溜めないようにしている。
自分のつけた絶妙な設定の値段で売れると、
なんだか商売上手になった気分になりいまだに嬉しい。
本を売ると、メルカリのポイントが貯まって、
欲しかった本がメルカリ内で買えちゃうので
またつい市場を見てしまう。インプットしたらまた売る。
このループ。この際、メルカリは一度も僕に
払い出しをしていない。僕たちが売買したお金はずっと
メルカリ内にあるということ。いったい融資何%分の金利を浮かせているのか。
キャッシュフローが有利な設計すごいな、メルカリ。
ついでに、
家のプリンターが壊れちゃったので
購入していたWebマーケティング情報教材の
PDFファイルをコピー機で印刷。
※いまだに「この教材は何周かする深いやつだ」
って教材はペラペラ紙に印刷して、
わざわざ高級なファイルに綴じて勉強したりする。
「本物は手元に持っておきたい」という感覚は、
もっとデジタルネイチャーな世代にはもうないんだろうな。
自分でもかさばって不器用だなーと思うけど、
もう何年もこのスタイル。
まぁ、自分に合ってればいいよね、という感じで。
メルカリの発送とコピー機のメディア印刷。
このたった2つの用事で
見事に2つの事件が起きた。
1工程1事件でなかなかイベントが多い。
まず手元にある本を購入者に発送したいので、
店舗内にある郵送用のポストを操作。
メルカリのアプリ内で
「ファミリーマート」を選んで
QRコードを生成し、ポストにかざすと
商品に貼れるバーコードがすぐに印刷される。
こういうテクノロジーは
日に日に便利になっていって、
アラサーの僕には信じられない進化スピードだ。
気がついたら新しい機能が追加されている。
・・・ここで事件その1が発生した。
【その1】宅配ポストのシール、売り切れ事件
ポストから印刷される宛名シールが
紙が切れて出てこなくなったのだ。
僕の短いメルカリキャリアで
初めての経験だった。
これでは荷物が送れない。
僕には助けが必要だった。
僕は並んでいた二人ほどの接客を終えた、
レジの店員さんに状況を伝えた。
「ポストの宛名シールの補充お願いします。」
ワンオペのベテラン店員さんは、
(このファミマ行くと大体店を守っているのでほぼ毎日行く僕はもはや顔を覚えられているはずだ)
店内のフロアの方にコンマ0.5秒くらいのいちべつを配した。
買い物客の様子を見て、
向こう1、2分はレジに人が
来なさそうな気配を読み取ったのだ。
まるで店内をスキャンするかのように、
僕が日頃いじっているChatGPTよりも
はるかに早い処理速度で
「向こう1、2分はレジの仕事は生じなさそうだから、今はこいつのためのメルカリポストのシールを補充してやっても大丈夫だ」
ということを瞬時に読み取ったのだった。
僕には到底真似できない洞察スキルを見せつけられた。
ポストを開けて、レシートの紙と同じような、
ロール状のシールの素材を補充してもらい、
僕は礼を告げて無事に商品を発送した。
次にその左にあるコピー機に向かい
USBに保存した情報教材の
PDFファイル印刷にホクホクと取りかかった。
コンビニのコピー機なんて昔は
小銭を入れて10円のコピーをする
くらいのものだったが今は違う。
住民票を印刷するマイナンバーカード置き場とか、
チケットを買うためのカラーディスプレイとか、
スポーツのギャンブルくじを買うボタンとか、
もはや「コピー機」とは言えない機能が、
こちらの”テクノロジー機器”には詰め込まれていた。
なんなら、コピーや印刷は、
「チケット」や「行政サービス」よりも
見つけにくいボタンになっていた。
もはやサブ機能扱いだ。
「どこがコピー機やねん」
とコピー機に対して独り言を言いながら
「Webマーケティングで稼ぐ悪用厳禁ノウハウ」
を印刷している一人の男がそこには立っていた。
この教材は一度iPadでインプットしたら
あまりにも情報が濃すぎて印刷に至った。
たまにこういう情報や刺激に出会えるから
情報の消費、投資はやめられない。
何にも勝る快感がある。
これから両面印刷してファイルに綴じ、
自宅の書斎に戻ってこれを何周も読む。
そのちょっと先の未来にワクワクしっぱなしだった。
「これ紙で感じてインプットしたらどれだけ進化できるだろ、今日だけで。」
約30万円の教材と、
PDFをファミマで両面印刷する料金約1500円。
これから手に入る楽しみに対して、
この投資額は安いもんだった。
書斎で教材を貪り読む時間を
どうしても脳内で先取りしてしまう。
僕の体はファミマにいたが、僕の脳はもう書斎にいた。
楽しみすぎて、
現実世界と脳内世界の位置関係が
完全に歪んでいる。
「カシャッ、カシャッ」
僕が30万円で購入したPDFファイルを、
コピー機が高速で両面印刷する音が
地元のファミマに響き渡っていた。
僕が書斎に行く時間への、
カウントダウンなのだ、この音は。

「カシャッ、カシャッ」
教材の完成が近づくごとに、
鼓動が心地よく高鳴っていくのを感じた。
やらしいお店の前で時間を待つ人みたいに、
ちょっと先の未来の快感を想像して、
「ウヒ、ウヒヒ」が噛み殺し切れない形相で
ファミマのコピー機の前に突っ立っている。
しかもこの男は1分前には、
「どこがコピー機やねん」などと
まぁまぁ大きな声で独り言をこぼしていた。
どっからどうみても完全な不審者だった。
・・・ここで事件その2が発生した。
【その2】コピー機のA4の紙、売り切れ事件

僕を書斎へと導く、
両面印刷の音に浸っていると、
「プププ」と言う音が僕の世界をさえぎった。
1,500円分(=150ページ)も容赦なく
印刷しまくっていたので、
コピー機のA4用紙がなくなってしまった。
僕はまたワンオペ店員さんの
レジに向かうことになった。
バイク乗りの兄ちゃんに
ファミチキを売りつけた彼に
僕はすかさず刺さっていった。
「すみません、コピー機のA4用紙の補充をお願いします。」
はいともいいえとも言わず、
特になにか感情を動かすでもなく、
当たり前のように彼はまた”店内スキャン”を始めた。
「向こう1、2分にレジ対応は必要とならない」
相変わらず僕がまばたきするよりも
速いんじゃないかと言うスピードで
瞬時に状況を把握し、彼はA4用紙を手に持った。
あっという間に、僕の知的快感の材料の束は、
コピー機の下から3番目の棚に吸い込まれ、
また僕を興奮させるあの音が始まった。
「カシャッ、カシャッ」
次の瞬間にはもう店員さんは、
昼休憩のOLにヨーグルトとお菓子を売っていた。
「主食ないんかい」
また僕は危ない独り言をいう
コピー機おじさんへと戻っていた。
【その3】Webマーケター、ファミマバイト就職事件
この2つの事件をきっかけに
完全に店員さんの仕事っぷりの虜になっていた。
すでに心は書斎にいた僕だったが
このワンオペ店員さんのタスク処理能力は、
コンサルをお願いしたいほどのクオリティに達していた。
すでに両面印刷の音と近未来書斎トリップで
完全に変性意識状態にあった僕は気がついたときには
ファミマのバイトとなり、彼に弟子入りしていた。
Webマーケターから
ファミマ店員になった世界で、
もう一人の僕が動き始めた。
脳内で履歴書を出し終わり、
ファミマの制服を着た僕はまず、
隣で師匠の技を見させてもらった。
(もちろん本当にやったら御迷惑になるので、商品を物色しながら邪魔にならないよう眺めていた。)
コンビニの店員さんと言うのは、
僕がやっている仕事よりもはるかにマルチタスクである
ということがすぐにわかってきた。
ただぼーっと商品を持った客が並んできて、
順番にさばいていけばいいというものではない。
ファミマは、そんなに甘くないのだ。
僕が弟子入りして10分後くらいに、
明らかに表情がおかしいおじさんがきた。
どうやら公共料金の支払いがたまっていたようで、
いよいよ電気だかガスが止まり、
しょうがなく支払いに来たようだ。
こんなことを言っては失礼だが、
清潔感のない、ボロボロの服から
まったく見合わない札束が出てきて、
なんと13万円を支払った。
情緒不安定なおじさんと対峙して
こんな大金を扱うとなるとテンパリそうなものだが
師匠は相変わらずはいともいいえとも言わず、
まったく感情を動かさずに「YESボタン」を押すことを要求する。
どこからともなく
領収済みのハンコを取り出してきて、
何枚もある請求書に支払った証を刻んでいく。
「ありがとうございましたー」
あまりにもあざやかで、当たり前にやるので、
入店時に心なしか荒れ模様に見えたおじさんの表情は、
セラピーを受けた赤ちゃんのように落ち着いていた。
なんなら、
帰りにタバコを買っていった。
クロスセルに成功しているではないか。
番号で言ってあげればいいのに、
銘柄名を師匠に伝えた。
師匠「ああ、56番ですよね?」
公共料金13万未納おじさん「うん、そう。」
みなとら「なんでわかんねん」
不機嫌な高額商品決済にも全く動じない器。
クロスセルの自然さと売れ筋タバコの番号の暗記。
僕の2つの紙売り切れ事件を解決してくれたあとの話だ。
師匠に、できないことなどもはや1つもないのではないか。
そう思わざるを得ない圧倒的な商取引をまざまざと見せつけられた。
次に近所の夫婦が来た。
引越しでもするのか、
「粗大ゴミのシール」を買いに来た。
「粗大ゴミの世話までしてんのかい」
コンビニ、名前の通りだが、
あまりにも便利がすぎるだろう。
こんなに仕事を増やしたら、
人材が来なくなるぞ。大変すぎやろ。
奥さん「粗大ゴミのシール、2100円分お願いします。」
師匠は例のごとく、
はいともいいえとも言わず、
感情をピクリとも動かさず、
どこからともなく「粗大ゴミシール」を取り出した。
僕はここで絶望した。
粗大ゴミシールは、
1000円、500円、200円の3種類しかなかったのだ。
「2100円分だから、100円お客さんに損させちゃうのか。でも3種類のキリの良い数字しかないから、しょうがない。」
ついに僕は師匠の限界を見た。
できれば、師匠のカッコ悪い姿は見たくなかったが、
こればかりは粗大ゴミのシステムのせいだ。
しょうがない。師匠は悪くない。
・・・
ビリッ
ビリッ
ビリッ
師匠は音速で1000円シールを1枚、500円シールを1枚、
200円シールを3枚
破り、1000+500+200×3(=600)
であっという間に2100円ピッタリの
粗大ゴミ処理料金シールを販売してしまった。
「税金とか計算全部税理士に丸投げのワイ、想像すらできなかった・・・」
あろうことか、
「マーケター」であるはずの僕は
数字の計算ですら師匠には敵わなかった。
きわめつけはフロアーが空いた数分で、
バックヤードに戻った時だった。
「流石にマルチタスクで脳をフル回転した師匠、休憩かな。どうぞどうぞ休んでください!」
・・・
ガラガラガラガラ
・・・
ガラガラガラガラ
人気炭酸水「ウィルキンソン」
の陳列が薄くなっており、
師匠はちょっとの時間も無駄にせず
ウィルキンソンをフルに補充した。
レジに戻った数分後、
フラっと買い物にきた若者が、
「ウィルキンソン」を手に取り、購入した。
・・・!!!!
未来が、、、見えたのか!!!!!
マーケット感覚においても圧倒的な差を見せつけられ、
「マーケター」を名乗ることが恥ずかしくなった僕は、
彼に勝てることなど1つもないと悟った。
その師匠との距離に耐えきれず、
そそくさとファミマを後にして書斎へと逃げた。
彼があの果てしない能力を発揮して時給1200円を稼いでる間に、
僕は書斎で教材を読み込み、実践して寝てる間に50万くらい稼いだ。
師匠・・・
僕が師匠に勝てるものは、
「収入の多さと労働量の少なさ」だけだった。
師匠・・・
ただもっと、ひたすらに
「もっと効率的にするため」
に次の教材を買い漁るただの成金のオレに、
師匠のような「ゾーン」が見える日は来るのでしょうか・・・
【挫折】コンビニ店員の道を断念
師匠と過ごした小一時間で、
僕はすっかり弟子として再現性を
感じられなくなってしまった。
希望を失ってしまった。
おれ、ファミマの店員なんて絶対に務まらない
それはおそらく真理に近い確信だった。
頭の悪い僕はもう、
Webマーケティングのスキル1本で稼いでいくしかない。
Webマーケの方がどう考えても、
何十倍も簡単なことは確実だった。
なんせ、マルチタスクがない。
全部パソコン上で完結するからだ。
しかも自分のペースでやるので、
わからないことや忘れたことはいつでも
メモっておいてもいいし、教科書も机に置いておける。
スキルが足りなくなれば、
また成功している上級者から教材を買って、
戦略を学ばせて貰えばいいのだからチートのような方法だ。
現時点でも、
タバコの番号のように暗記しなくても
月収2000万稼げた。
ファミマのレジはできなくても、Webマーケターならできる
200と500と1000を使って、2100を作れない。
レジの対応をしながら紙を補充するなんてできない。
時間が取れたとしても、紙を補充する方法もわからない。
というかハンコとかシールとか紙とかの置き場所絶対忘れる。
炭酸水のニーズを察して、陳列に補充できない。てかタイミングわからない。
10万以上払う不機嫌なおっさんに平気な顔して「YESボタン」押させれらない。
たった1時間でこの騒ぎだから、
きっとホットスナックの調理とか
在庫の搬入とか、宅配スタッフへの荷物渡しとか、
そのほかにも僕の知らない仕事が無限にあるのだろう。
コンビニが便利に進化しすぎた結果、
とても僕には対応できない高度な仕事になってしまった。
しかも苦手なことを外注するとかもできない。
僕が数字を税理士に投げ、
デザインをデザイナーに投げ、
SNS作業を運用者に投げ、
集客を広告AIに投げているので、
「コアを作る」仕事だけやってれば、
自分が働かなくても何千万も稼げる。
でもファミマ店員は
これだけの多種多様な業務内容を全部やる。
「あ、自分これは苦手で」「これは嫌いで」
などというわがままは許されない。
どっちがどんどん強くなるか。
その答えは明白である。
どんどん新しいことを覚えていく彼らには絶対に叶わない。
というか「Webマーケティング」は、
ここ何年もやるべきことは何も変わっていない。
本質王道を学び、一度コツを掴むだけ
である。
そのあとはハッキリ言って、
おんなじことの繰り返しなので
ほとんどシングルタスクに近い。
流れを一周やってしまえば、
「新しいことを覚えて乗り越える」
報酬の大きさ、持続性はコンビニ店員の比ではない。
誰しもバイトや本業で、
「やったことがないことをできるようになる」
ということを経験する。
ファミマの仕事を見て確信したのだが、
Webマーケターが乗り越えるそれの数は、
コンビニ店員が乗り越えるそれの数よりはるかに少ない。
情報発信に限って言えば、
「文字を書く」だけで、
あとは大体一回経験すれば覚える。
一度ブログやメルマガを扱えるようになれば、
ファミマの宅配ポストやコピー機と違って、
ほぼ同じ要領で仕事をすることができる。
それでウン千万、ウン億の世界だ。
あとは外注でもいいし、
こうやって好き勝手に書斎にこもったり
妄想してブログを書いてたりするだけだ。
「やったことなくて・・・」
とか言って行動を後回しにする人に限って、
僕よりファミマの仕事ができる頭の良さを持っていたりする。
改めて、
・仕事ができるかどうか
・努力量が多いかどうか
・たくさん時間をかけたかどうか
は、
収入には一切関係がない。
資本主義におけるチートを見つけ、
その歪みを徹底的に突き、
ひたすら繰り返すだけだ。
自分の能力のなさを痛感すると同時に
勝てるところで勝負するという
「戦略」がいかに大事かを改めて学んだファミマの旅だった。
またこれから、
彼に栄養ドリンク売ってもらう。
彼は1200円を得る。
僕は栄養ドリンクを片手に書斎に戻って
のんびりと動画を見たり、こういう妄想をしながら
5万円の売り上げ通知メールを受け取る。
「はたらくって、なんだろう。お金って、なんだろう。」
そう考えざるをえない。
